これまではスーツでの出社を求める会社が多くありましたが、最近では働き方の変化に伴い「オフィスカジュアルな私服」での出社を認める会社も増えてきました。
しかし、新入社員の方の中には「オフィスカジュアルって?」と悩んでいる方もいらっしゃると思います。
今回は、そんな「オフィスカジュアル」の基礎を知って、周囲に好印象を与えるポイントを押さえていきましょう。
仕事の場面で求められる「好印象」って、どんな印象?
新入社員の皆様、就職おめでとうございます。就職面接はスーツだったけれど、入社したらスーツよりもオフィスカジュアルの方が適しているという方も多いのではないでしょうか。
ただしオフィスカジュアルといっても、「自分の好きな服でおしゃれをして仕事をしてOK」ということではないので注意が必要です。多くの方と関わりながら仕事をする会社では、相手の方を思って整える“身だしなみ”が大切になります。“おしゃれ”は自分が楽しむものなので、これから一緒に仕事をしていく方々に好印象を持ってもらいやすい“身だしなみ”の整った服装を心がけましょう。
ここからは、仕事の場で求められる「好印象の3つの要素」を服装や色であらわすポイントを紹介します。
◆好印象を与えるポイント「清潔感」
1つ目のポイントは「清潔感」。清潔感を与える色は、『白』や『青』『パステル系の明るい色』です。シャツやインナーの色を清潔感を与えるカラーにすると、顔映りが明るくなり表情も活き活きとして見えて、好印象を与えやすくなります。
更に、ヘアスタイルや爪などの細かいところを整えたり、綺麗に磨いた靴・しわの無いシャツ・サイズの合った服など、“身だしなみ”を整えたりすることも、清潔感UPに繋がりますよ。
◆好印象を与えるポイント「統率感」
新入社員の方なら、「お仕事を任せても大丈夫そう」と思ってもらえたり、「リーダーシップを発揮してくれて頼れそう」といった印象を与える「統率感」も好印象のポイントです。
この統率感を色であらわすのは赤が適していますが、仕事の場で赤を使うのは難しい場合もあるかもしれません。そのような時は、『ストライプ』を着用しましょう。統率感を与えるのにぴったりの柄です。『赤』や『ワインレッド』『ピンク』といった赤系のストライプが入ったシャツなどで統率感をあらわすのがおすすめ。
◆好印象を与えるポイント「親しみやすさ」
コミュニケーションを取りながら進めていく仕事では、「親しみやすさ」も話しやすい印象や好印象を与えるポイントです。親しみやすさや話しかけやすさをあらわすのにぴったりな色は『オレンジ』。初対面の方と会う場には、オレンジを取り入れた親しみやすさを演出した装いがおすすめです。
また『黄色』は「もっと話したい!」と思わせる色彩心理のある色です。相手の方と会話を深めたいときにも適したカラーになっています。ネクタイの色で取り入れるのもおすすめ。
そもそも「オフィスカジュアル」って?
新入社員の皆さんにとっては、「オフィスカジュアル」は耳慣れない言葉かもしれません。更に「ビジネスカジュアル」という言葉もあって混乱してしまうかもしれません。
「オフィスカジュアル」は、社内で仕事をするのに適していて、社内に来客があっても失礼に当たらない礼儀正しい服装です。一方「ビジネスカジュアル」は、取引先企業への訪問や来客対応をするのに適した礼儀正しい服装のこと。スーツではないものの、同等の「きちんと感」が求められます。
ビジネスカジュアルよりラフでありつつも、仕事をするのに適している服装が「オフィスカジュアル」、とイメージすると違いが分かりやすいかもしれません。
◆「オフィスカジュアル」のNG
スーツやビジネスカジュアルよりもカジュアルな服装の「オフィスカジュアル」は、どこまでドレスダウンしてOKなのか、NGポイントとあわせて紹介します。
カジュアルだからと言って、ジーンズやTシャツ・サンダルといったラフな服装や派手な柄や色はNGです。露出の多い服や身体のラインが出る服、素足も相応しくないので気を付けましょう。
入社式や研修はスーツで、研修を終えてオフィスカジュアルOKとなったら先輩社員さんの服装を参考にしつつ、白いシャツをカラーシャツにするなど少しずつカジュアルダウンしていくのがおすすめです。
◆「オフィスカジュアル」に相応しい色・アイテム
次に具体的にどの様な色やアイテムが「オフィスカジュアル」に相応しいのかを紹介します。忙しい朝でも服装選びに迷わず、焦って選んで職場で浮かないように、事前に揃えておくと便利ですよ。
色は、『ネイビー』『ベージュ』『ホワイト』『黒』『グレー』などのベーシックカラーがオフィスカジュアルに相応しい色です。ジャケットやボトムスなどはベーシックカラーを中心に揃えておくと、オフィスでも浮いた印象になりません。
『ブルー』や『ピンク』などのパステル系の明るい色は、シャツやブラウスなどのインナーに使うのがおすすめ。ジャケットとボトムス(パンツやスカート)、シャツやブラウスなどを単品で揃えておくとコーディネートのバリエーションが増えて便利です。
男女別「オフィスカジュアル」のコーデポイント
揃えておくと便利な色やアイテムをお伝えしましたが、具体的にどのようなコーディネートにしたら良いのかを、与えたい印象に合わせてお伝えします。
一例として、男性は『ネイビー』のジャケットに『グレー』のパンツ、インナーは『白』のボタンダウンシャツ。女性は『グレー』のジャケットに『黒』のスカート、インナーは『白』のブラウスといったコーディネートがオフィスで浮かない好印象を与えるコーディネートです。
また、トップスとボトムスのコーディネートカラーを変えると相手に与える印象が変わります。元気な印象を与えたいときは、(上記の男性のコーディネート例のように)トップスよりもボトムスを明るい色に、落ち着いた印象を与えたいときは、(上記の女性のコーディネート例のように)ボトムスをトップスよりも暗い色にするのが適します。オフィスの雰囲気や与えたい印象にあわせて、トップスとボトムスのカラーコーディネートに変化をつけましょう。
◆女性の「オフィスカジュアル」
もう少し具体的に、女性のオフィスカジュアルコーディネートに持っていると便利なアイテムを紹介します。
【ジャケット】
ジャケットはきちんと感を与えてくれるので、社内で急な来客対応をする際でも持っていると便利なアイテムです。きちんと感が高いのはネイビーや黒の襟付きのテーラードジャケット、エレガントな印象はベージュやホワイトのノーカラージャケットになります。
スカートやパンツにもコーディネートしやすいのは、着丈が腰骨辺りのショート丈のジャケットです。襟なし・襟付きどちらもオフィスカジュアルに対応できます。
【インナー(シャツやブラウス)】
ジャケットのインナーにしたり、1枚で着たりと利用頻度の高いシャツやブラウスは、1枚で着ても体のラインを拾わず透け感の無いものを選びましょう。しわの無いシャツやブラウスで、白やパステル系の明るい色を選ぶと清潔感があっておすすめです。
カットソーは体のラインが出やすく注意が必要なアイテムになります。肌の露出はオフィスカジュアルではNGですので、お辞儀や下を向いても胸元の開きが気にならない、胸元の開きが小さいデザインの洋服を選びましょう。
【ボトムス】
スカートやパンツは、体のラインを拾わないものを選びましょう。丈の短いスカートはNGです。椅子に座った時に膝頭が隠れる長さかどうか確認してください。フレアスカートなら足さばきも良くきちんと感があって良いでしょう。
パンツはデニムなどのカジュアルな素材のものは避けましょう。
【靴】
足元は、ヒールが3~5cm程度の黒やベージュのシンプルなパンプスが服装を選ばず合わせやすいのでおすすめです。ピンヒールやスニーカーはビジネスの場には相応しくないので控えましょう。
素足もビジネスの場ではNGです。肌の色に近いストッキングを履きましょう。
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おしゃれなデザインをピックアップしてご紹介しているので、ぜひ合わせてチェックしてみてください!
【鞄】
入社当初はブランドバッグよりも、シンプルなA4サイズの書類が入る大きさのバッグが賢明です。シンプルなバッグなら、オフィスカジュアルのファッションに合わせてバッグを変える必要が無いので、バッグ選びに迷う心配がありません。
【メイクやアクセサリー】
派手なメイクやネイル・アクセサリー使いは清潔感を与えにくいのでNGです。ヘアスタイルも長い髪はまとめるなどして、スッキリと清潔感のあるスタイリングにしましょう。
◆男性の「オフィスカジュアル」
男性のオフィスカジュアルコーディネートを作るのに持っていると便利なアイテムを紹介します。
【ジャケット】
男性もジャケットをいくつか持っていると便利です。落ち着いた色の襟付きテーラードのシングルジャケットが、落ち着いた印象を与えてくれるので、入社間もない時期のオフィスカジュアルには特に適しています。
ウールやカットソー・コットンなど、素材の変化で季節感を出すのもおすすめです。
【インナー】
白やブルーなど清潔感を与える色のボタンダウンのシャツやポロシャツ、襟付きのシャツがおすすめです。ネクタイをしないオフィスカジュアルのコーディネートや、クールビズスタイルの時にもきちんと感があって便利です。
【ボトムス】
デニムや短パンは、カジュアルな印象が強いので避けましょう。ライトグレーやネイビーといったベーシックカラーのスラックスが、オフィスカジュアルには適します。きちんと感を高めたい時には、センタープレス入りのスラックスが良いでしょう。
くるぶし丈のスラックスはおしゃれですが、本来スーツスタイルではくるぶしを出すのはNGです。オフィスカジュアルであっても注意が必要で、周囲の雰囲気から「くるぶし丈が許される環境ではなさそう」と感じたら、避けるのが賢明です。チノパンもオフィスカジュアルに使えますが、フォーマルなシーンには適していないので気をつけましょう。
【靴】
就職面接や入社式には、多くの方が内羽根式ストレートチップの革靴を履いたと思いますが、こちらはフォーマル度が高くオフィスカジュアルにはやや堅苦しい印象になってしまいます。オフィスカジュアルには、外羽根式のレースアップシューズやモンクストラップシューズが適しています。黒や茶の革でベルトと同色にするとコーディネートがまとまりますよ。
ローファーのようなスリッポンタイプの靴は学生靴の印象を与える場合もあるので、職種によっては注意が必要です。
【鞄】
かっちりとしたビジネスバックよりも、オフィスカジュアルには簡便なビジネスバッグの方が適しています。ノートPCやタブレット・資料などの荷物を収納でき、ビジネスシーンでも浮かないシンプルで機能性の高いビジネスバッグを選びましょう。
軽いナイロン素材でトート・リュック・ショルダーとシーンによって使い分けられる3way仕様が主流です。
【靴下】
靴かズボンと同色の靴下を選びましょう。白の靴下は、学生の印象が強いので避けてください。
まとめ
オフィスカジュアルに関するルールは、会社によって様々です。先輩社員さんたちの服装をチェックしたり、直接聞いてみるのもコミュニケーションの機会となって良いかもしれません。
相手に好印象を与える清潔感やきちんと感のあるオフィスカジュアルで、社会人生活を気持ちよくスタートさせましょう。服装によって自分の気分や周りの印象が変わることもあるので、お伝えをした内容を参考に、自分に自信が持てるオフィスカジュアルでオフィスの雰囲気や仕事を楽しんでください。
執筆者プロフィール
川島彩子(カラーコーディネーター/イメージコンサルタント)
PlusColor代表。ショップスタッフを経て「色」と「ファッション」について専門的に学び独立。カラーセミナーや企業研修等を多数実施。受講者からは、自分に似合い、T・P・Oにもあったアイテムを選べるようになったと定評がある。