賃貸住宅に入居するということは、いつか退去するときが来るということ。退去するときに大家さんとのトラブルを避けるためには、入居したときの備えがとても大事になってきます。
そこで、入居時にしておくと良い備えを紹介します。
退去時にトラブルが発生することがある!?
新居への引っ越しは、期待で気持ちもワクワクしてHappyなもの。ですが、やがて新たなステップへと移るために次の引っ越しをすることもあるでしょう。そんなときに思わぬトラブルに巻き込まれることがあります。
それは、物件を「原状回復」して引き渡せているかどうか、貸主と借主の間に意見の食い違いが発生するというトラブルです。それにより、修繕費を請求されたり、敷金を返してもらえなかったりするケースがあります。
そうしたトラブルに巻き込まれないための方法を、次で紹介します。
入居時に行う!事前チェック項目14選
1. 壁・天井のクロス・襖に汚れ、キズ、剥がれは無いか
2. 床材に汚れ、キズは無いか
3. インターホンは使えるか
4. 電気はきちんと点くか
5. 照明器具に、割れやキズは無いか(据え付けの場合)
6. 窓や網戸に、ひび割れや破れ・キズは無いか
7. 設備(エアコン、給湯器、コンロなど)は正常に動くか
8. カビは無いか(洗面所や浴室、クローゼットの中など)
9. トイレの便座は割れていないか
10. 水漏れは無いか(キッチン、トイレ、浴室、洗濯機の蛇口)
11. 建具の開閉に不具合は無いか(下駄箱や収納の扉、部屋の扉など)
12. メールボックスに不具合は無いか
13. 前の居住者の残置物(忘れ物)は無いか
14. ベランダの配管や排水溝が破損していないか
特に、1・2・6・7・8は念入りにチェックした方が良いです。
もしここに挙げた項目にチェックが入るところがあれば、仲介の不動産業者に連絡をしましょう。加えて、撮影日時が入る設定で不具合箇所を撮影して、賃貸契約書と一緒に保管しておいてください。
不動産業者からこういったチェック事項を知らされないこともあります。そのような場合は、国土交通省が定めている「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」(7、8ページ)を参考に使って作っておくと無難です。
チェックしたものをコピーし、大家さんと自分が保管しておくと良いでしょう。
入居後に発生する、汚れや傷を防ぐ方法
前述の事前チェックシートの説明で「特に1・2・6・7・8は念入りにチェックした方が良いですよ」と説明しましたが、逆に自分の退去時には、ここが一番トラブルになりやすいところとも言えます。新居で生活が始まる前に、予防策を講じておくことが賢明です。
◆壁・天井のクロス・襖の汚れ、キズ・剥がれ
壁に付きやすい汚れとしては、部屋のスイッチ周りの手垢汚れ、幅木の上のホコリなどがあります。壁が外壁に面していればカビの発生も考えられます。家族に喫煙者がいればたばこのヤニ汚れもあるでしょう。
【壁の手垢やホコリの汚れ】
手垢やホコリの汚れは、粘着力の弱いマスキングテープでスイッチ周りを養生しましょう。汚れが目立ってきたら、そのマスキングテープを張り替えるだけで大丈夫です。
【壁のカビ】
カビが発生しそうな壁には家具などを置かないようにしましょう。やむを得ず家具を置く場合は、壁から5cmほど離して置きます。そして日常的に家具と壁の間に空気の流れができるように、こまめにお部屋の換気を行ってください。
また、先住者の時点でカビが発生している可能性も考えられるので、カビが発生しそうな壁には消毒用アルコールを吹きかけて、カビを根絶やしにすることもおすすめです。
【壁のヤニ汚れ】
たばこのヤニ汚れは壁紙につくと落ちません。どうしても禁煙できないのなら洗面所を喫煙所にするのがおすすめです。洗面所に貼られている壁紙は、水に強いビニール製が多いので水拭き掃除をすることができます。1週間に1度、洗面所の”壁・天井・棚・扉・ドア・床・柱・換気扇”を水拭きすれば退去時のトラブルが少ないかもしれません。
喫煙する際、換気扇を回して喫煙してくださいね。
◆床材の汚れ、キズ
フローリング材の場合にトラブルになりやすい箇所。元からある傷がそれ以上広がらないように、養生テープを貼って過ごすと良いでしょう。養生テープだと、剥がした後に糊がつくことが無いので安心です。ただ、色が気になる方はテープに着色をしてください。
◆窓や網戸のひび割れや破れ・キズ
網入りの窓ガラスは、古くなると中で針金が酸化して膨張しひびが入ることがあります。「使い方が乱暴だから」と修繕費を請求されてはたまりません。
1・2・6ではキズのチェックがありますが、写真を撮る時、物差しで傷の大きさを測って分かるようにしておくと、証拠になります。
◆設備(エアコン・コンロなど)の動作
エアコンの汚れの大半は、フィルター汚れです。エアコン本体の表側にカバータイプで取り付けられる、不織布性のフィルターをつけておくと汚れにすぐに気が付きます。あとはフィルターを取り換えるだけでエアコンをキレイに保つことができます。
【コンロの油汚れ】
コンロは油汚れが付きやすいので、五徳下の皿には油受けマットを置いてこまめに交換したり、調理し終えた直後に濡れ布巾でコンロやコンロ回りの壁を拭くだけで清潔に保つことができます。
◆カビの発生(洗面所や浴室、クローゼットの中など)
カビは空気中に胞子として漂っていて、自分が住みやすい場所を見つけたら着地して繁殖していくという性質を持っています。カビにとっての一等地は、程よい湿度と温度・餌。
彼らのご馳走は、湯あかや石鹸カス・皮脂汚れなのでお風呂や洗面所に集中して発生しがちです。
【お風呂に入った後のお手入れ】
最後にお風呂に入った人は、掃除専用のナイロンボディタオルとお湯で、壁・バスタブ・エプロン・ドアの内側・床・椅子・洗面器・鏡などをサッと擦り洗いしたあと、スクイージーで水分を切り、窓を開けるか・換気扇を2時間回すだけで、カビの発生はグンと抑えられます。
まとめ
これらのことに注意して荷解きをすれば、退去する時に大家さんと大きなトラブルにならずに、気持ちよく出ていくことができます。
少し面倒だな…と思っても、しっかりとやっておくのが身のためになります。
執筆者プロフィール
梶野智絵(整理収納アドバイザー1・2級 家事マイスター)
テレビ出演・ラジオ出演・民間企業や行政の男女共同参画事業からご依頼の家事講演・企業様の実習付き研修・Web記事執筆・新聞コラム一年間掲載などの活動を行っております。