『おせち料理』なぜ重箱に詰める?詰め方のルールときれいな盛り付け方

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『おせち料理』なぜ重箱に詰める?詰め方のルールときれいな盛り付け方

お正月といえば、やはり「おせち」ですね。最近では購入する人が増えていますが、おせちも自分で作れば、一味違うはずです。

そこで、「今年は、自分で作ってみよう」とお考えのみなさんに、おせちをきれいに詰める方法をご紹介します。ぜひ参考にしてください。

おせち料理はなぜ重箱に詰める?

おせち料理

ところで、どうしておせちは重箱に詰めるのかご存じでしょうか。もちろん、ちゃんと理由があります。

おせちを重箱に詰めるという現在のスタイルになったのは、江戸時代とも明治時代ともいわれていますが、そこには「おめでたいことが重なりますように」という願いが込められています。ただ「重箱だと場所を取らないし、来客にも振る舞いやすい」という現実的な理由もあったようです。

重箱の重ね方は「四段重」(地域によっては「五段重」)が本来の形ですが、現在は「三段重」が一般的になっています。
また、少人数用の「二段重」や、おひとりさま用に「一段重」もあります。今回は、一般的な「三段重」の詰め方をご紹介します。

 

三段重に何を入れる?おせちの詰め方にもルールあり!

おせちには「この段には、これを入れる」という伝統的なルールがあります。また、入れる料理や使う食材にも、それぞれ意味や願いが込められています。

まずここでは、そうしたおせちの基本的なルールや常識についてご紹介します。

一段目「一の重」は祝い肴三種と口取り

一番上の段は「一の重」といわれ、「祝い肴三種」(または「三つ肴」)や「口取り」と呼ばれる、コース料理でいえば前菜に相当するものが入ります。祝い肴三種は、お屠蘇(おとそ)のためのおつまみのようなもので、関東では「黒豆」「数の子」「田作り」、関西では「黒豆」もしくは「田作り」と「数の子」「たたきごぼう」からなります。

「これと餅があれば、お正月が迎えられる」といわれるほど、おせちには絶対に欠かすことのできないものです。

黒豆数の子田作り

黒豆

丈夫」「健康」という意味の「まめ」という言葉から、「今年一年、元気で過ごせますように」という願いが込められています。

また、古くから黒い色には「魔よけ」の力があるとされており、「邪気を払う」という意味も含んでいます。

 

数の子

無数のニシンの卵からなる数の子には、二親(ニシン)からなる「子宝成就」や「子孫繁栄」の願いが込められています。

彩りも鮮やかで、高級感もある数の子は、おせちには欠かせません。

 

田作り

いわしが肥料として使われていたことから、干した片口いわしの小魚を甘辛く煮た料理は「田作り(田を作る)」と呼ばれ、「五穀豊穣(ほうじょう)」の願いが込められています。

 

たたきごぼう

たたきごぼう

たたきごぼうは、たたいて開いたごぼうに甘酢やごま酢で味を付けたもので、開くことから「開運」の願いが込められています。また、「大地にしっかり根を張る」ということから、ごぼうには「安泰」や「繁栄」の意味もあります。

主に関西地方で使われ、関東などほかの地域ではあまり使われません。

 

紅白かまぼこ伊達巻

口取りも本来は酒の肴のことですが、おせちでは、お酒を飲まない子供たちでも食べられるようにと甘めのものが中心となっています。

具体的には、主に次のようなものです。

紅白かまぼこ

かまぼこは半円形であることから、「初日の出」を意味しています。

また、紅白の紅は「めでたさ」、白は「神聖さ」を表わしています。

 

伊達巻

その起源には諸説あるようですが、形が「巻物」に似ていることから「学問成就」の願いが込められています。

また、卵が使われていることから「子孫繁栄」、丸く巻かれていることから「家庭円満」を願う気持ちも込められています。

 

栗きんとん

栗きんとん

栗は、「勝ち栗」として、古くから縁起物とされてきました。

漢字では「金団」となり、その黄金色が財宝を連想させることから「金運」、勝ち栗から「勝負運」が、それぞれよくなるようにという願いが込められています。

 

昆布巻き

昆布巻き

昆布も「よろこぶ」につながることから、古くから縁起物とされてきました。

昆布に「子生」という字を当てて「家族の幸福」や「子孫繁栄」を願う気持ちや、喜ぶを「養老昆布(ようろうこぶ)」として「不老長寿」を願う気持ちが込められています。

 

錦玉子

錦玉子

錦玉子は、卵の黄身と白身が金と銀のように見えることから、豪華さを表わす「」になぞらえ、おせちに欠かせないものとなっています。

 

きんかん

きんかん

きんかんは「金冠」という字を当てることができるので、「豊かさ」や「金運」を願う気持ちが込められています。

 

お多福豆

お多福豆は、その名のとおり、「多くの福をもたらす」という意味で、おせちにも使われています。

 

二段目「二の重」は焼き物や酢の物

真ん中の段は「二の重」といわれ、魚の焼き物や酢の物など、主菜となるものが入ります。

具体的には、主に次のようなものです。

ぶり

ぶりの照り焼き

ぶりは成長とともに名前が変わっていく「出世魚」の代表格であることから、「立身出世」を願う気持ちが込められています。

 

鯛(たい)

鯛(たい)

鯛については、あらためてご説明するまでもないでしょう。「めでたい」につながることから、お祝いごとには欠かせないものです。

色鮮やかで、姿も美しいので、重箱の中が華やかになります。

 

えび

えび

えびも、鯛と同じく縁起物としておなじみでしょう。

その長いひげや腰の曲がったような姿から、「腰が曲がるまで、長生きできますように」という長寿の願いが込められています。そのため、えびは一尾まるごと、焼き物や煮物にします。

 

こはだ

こはだ

こはだも、ぶりと同じく出世魚の一種で、「成長」や「出世」を願う気持ちが込められています。

おせちでは、「粟漬け」など酢の物として、よく使われています。

 

紅白なます

紅白なます

お祝いごとに使う水引を模して、大根とにんじんに生の魚介を合わせた酢の物です。

大根やにんじんは、やはり「大地にしっかり根を張る」ことから、「安泰」や「繁栄」の願いが込められています。

 

菊花かぶ

菊花かぶ

冬が旬のかぶを飾り切りして、菊の花びらに見立てた酢の物です。菊は「邪気を払う」ものとされており、長寿を願う気持ちが込められています。ほかにも、酢の物であれば「酢れんこん」や「酢だこ」、煮魚として「あなご」や「ほたて」なども、よく使われます。

また、洋風や中華風のおせちで、お肉を使った料理などがある場合は、ここに入れるようにしましょう。

 

三段目「三の重」は山の幸を中心とした煮物

一番下の段は「三の重」といわれ、筑前煮やお煮しめなど、山の幸を使った煮物が入ります。根菜類や鶏肉などを一緒に煮ることから、「家族が仲良く結ばれる」という意味が込められています。

具体的には、主に次のようなものからなります。

山の幸を中心とした煮物

ごぼう、にんじん

前述のように、「大地にしっかり根を張る」ということから、ごぼうやにんじんには「安泰」や「繁栄」の意味が込められています。

また、にんじんは、飾り切りをして梅の花に見立てたもの(「ねじり梅」)がよく使われます。

 

れんこん

たくさん穴があいているので、前がよく見える」ということから、れんこんには「将来がよく見通せますように」という願いが込められています。

 

里芋、八つ頭

里芋は、一つの芋に小さな芋がたくさん付くことから、「子宝」や「子孫繁栄」を願う気持ちが込められています。

また、里芋の一種である八つ頭は、「」が「末広がりで縁起がよい」ということで、おせちではよく使われます。

 

こんにゃく

こんにゃくといえば煮物の定番ですが、おせちでは、真ん中に結び目を付ける「手綱こんにゃく」がよく使われます。「手綱を締める」ということから、「心を引き締め、己を戒める」という意味が込められています。

また「結ぶ」ということから、「良縁」や「夫婦円満」を願う気持ちも込められています。

 

しいたけ

しいたけは、昔はなかなか手に入らない高級品だったので、縁起物とされてきました。

おせちでは、長寿を願って、飾り切りしたしいたけを亀の甲羅(こうら)に見立てています。

 

たけのこ

たけのこは、天に向かって真っすぐ成長し、またスピードも速いことから、子供の健やかな成長を願う気持ちが込められています。

 

ふき

ふき

ふきは「富貴」と当てることができるので、「豊かに暮らせますように」という願いが込められています。

 

くわい

くわい

おせち以外ではあまり見かけることはないかもしれませんが、くわいは冬野菜の一つで、「畑の栗」とも呼ばれています。

大きな芽が出ることから、「立身出世」を願う気持ちが込められています。

 

ほかにも、こんなルールが

このほかにも、ぜひ覚えておいていただきたいルールがありますので、それらも併せてご紹介します。

一段に詰める品数は奇数にする

おせち奇数

割り切れる数(偶数)は「割れる」とか「別れる」につながることから、縁起が悪いとされており、通常お祝いごとでは使われません。

おせちもお正月のお祝いですから、一段ごとに詰めるものは、なるべく“3”、“5”、“7”のような奇数になるよう工夫しましょう。

頭は左に向くようにする

田作り

尾頭付きの鯛やえびなどを詰める際は、頭の部分が左側にくるようにします。これは、日本では伝統的に左が上位とされてきたことに由来していますが、見た目にも頭は左側にあるほうが美しく見えます。

また田作りも、小さいながらに尾頭付きですので、面倒でも頭を左にして並べるとよいでしょう。

紅白のものは、紅のほうを右にする

右紅左白

やはり日本には、古くから「右紅左白」といって、「向かって右側を華やかな色にする」というしきたりがあります。

かまぼこでも、おまんじゅうでも、紅白のものは紅色のほうを右側にします。

おせち料理のきれいな詰め方〜見栄えよく盛り付けるための工夫〜

ではルールが分かったところで、もう一つ、おせちを見栄えよく盛り付けるために、あらかじめ覚えておいていただきたいポイントをご紹介します。

仕切りを上手に活用する

料理ができあがって、「あとは盛り付けるだけ」となったら、まず、段ごとに「どこに何を入れるか」を決めます。できあがった料理をやみくもに詰め込んでも、見栄えのよいおせちにはなりません。美しく盛り付けるためには、「仕切り」を使って、あらかじめお重を区切っておくことが必要です。入れるものや品数に応じてお重に空間を作っていき、見た目のバランスを考えて、どこに何を入れるかを決めます。

お重用の仕切りは重箱に付いている場合もありますし、市販もされています。また、小さな器を使ったり、植物の葉を使ったりする方法(「飾り葉」)もあります。仕切りを使うことで、区切り方のバリエーションはグンと広がります。

いくつか代表的なものをご紹介しますので、参考にしてください。特別なルールはありませんので、いろいろなパターンをイメージしながら、決めていくとよいでしょう。

段詰め(段取り)

おせち段詰め(段取り)

おせちの基本的な詰め方です。上下に仕切りを入れて、縦に平行に詰めていく方法です。

「三の重」で使うと、お煮しめを具材ごとに並べることができ、見た目がすっきりします。

田の字

おせち田の字

漢字の「田」のように、上下左右に仕切りを入れて四つに分けます。

品数が少ないときに適していますが、そのままだと偶数になってしまうので、工夫が必要です。

市松

おせち市松

市松模様のように、田の字に2か所仕切りを増やして九等分します。

品数の多い「一の重」に適しています。

手綱(升掛け)

おせち手綱(升掛け)

斜めに仕切りを入れて、平行に詰めていく方法です。

真ん中が目立ちますので、「二の重」で尾頭付きの焼き物に使ったりすると、インパクトがあります。

隅切り(七宝詰め)

おせち隅切り(七宝詰め)

中央がひし形になるよう仕切りを入れて、五つに分ける方法です。こちらも真ん中が目立ちますので、やはり「二の重」などで使うとよいでしょう。

また、中央のひし形に仕切りを加えて田の字にして、「一の重」でも使うのもおすすめです。

末広

おせち末広

中央に小鉢などで円形に仕切りを入れ、さらにその周りを対角線で区切って、「末広がり」にする方法です。

中央の仕切り方によって、真ん中を目立たせることも、四隅を目立たせることもできるので、工夫次第でいろいろな使い方ができます。

八方詰め

中央に角型の仕切りを入れて、その下が「八の字」になるよう対角線で区切り、上は対角線ではなく縦に区切ります。

下の八の字から上に向かって「富士山」のように見えるので、お正月を祝うおせちにぴったりの仕切り方です。

扇詰め

扇を並べるように、斜めに半円形の仕切りを平行に入れていく方法です。

「三の重」で使うと煮物が豪華に見えるのでおすすめですが、円形に仕切っていくのは、初めての方には少し難しいかもしれません。

乱れ盛り

おせち乱れ盛り

あえて仕切りを入れず、そのまま盛り付けていく方法です。お煮しめのように細かく分けることが難しいものに適しています。

盛り付ける際は、真ん中が高くなるようにすると、美しく見えます。

同系色のものは離し、たけのこなどは立てて入れる

たけのこなどは立てて入れる

色の似ているものは、固まらないように離して並べると、広がりが出て美しく見えます。えびや数の子、たけのこなども、立てて並べると、立体感が出て見栄えがよくなります。

また詰める際は、なるべく隙間ができないようにすることも重要です。隙間なくきっちり詰められていると、型崩れしにくく、見た目も豪華になります。

飾り葉や薬味を活用し、見栄えを華やかにする

南天

盛り付けたら、アクセントとして「飾り葉」を加えると、彩りがよくなります。長寿の象徴である「松葉」や「難転(災い転じて、福をなす)」の「南天」、「潔白」を表す「裏白」などが、よく使われます。

また焼き物などには、薬味としてレモンやすだちなど色鮮やかな果実を添えると、アクセントとなり、引き立って見えます。

隙間が空いてしまったときや、品数が奇数にならないときも、これらをうまく使うとよいでしょう。
間が埋まるだけでなく、見栄えもよくなり「一石二鳥」です。

初めてでも安心!重箱に上手に詰めるために抑えておくべきこと

おせち上手に詰める

さあ、ここまできたら、あとはお重に詰めるだけです。

次のような点を意識しながら、チャレンジしてみてください。

よく冷ましてから詰める

せっかくのおせちが傷まないよう、よく冷ましてから詰めるようにしましょう。

奥から手前に詰める

重箱の奥のほうから手前に向かって詰めていくようにすると、きれいに仕上がります。

形の崩れにくいものから詰める

大きいものや硬さのあるものを先に詰め、やわらかいものや小さいものはあとから詰めるほうが、隙間なく詰めることができ、型崩れも防げます。

高さをそろえて詰める

なるべく全体の高さがそろうように詰めていくと、見た目にも美しくなります。厚みのないものなどは重ねて並べるとよいでしょう。

器や仕切りを使って詰める

煮物や酢の物など汁の出るものや、栗きんとんのような形のないものは、味や香りが移らないように、カップや器に入れるようにしましょう。

「アルミホイルのカップじゃ、ちょっと味気ない」とお思いでしたら、ゆずの中身をくり抜いて器にした「ゆず釜」を使うとよいでしょう。「笹の葉」を仕切りにしたり、お正月らしく「竹筒」を使ったりするのもおすすめです。

【お正月】残ったおせち料理を保存するには

おせち料理を保存

きれいに詰めることができるようになったら、最後まできれいに食べ切るために、保存方法も覚えておきましょう。

おせちは、本来お正月の三が日に食べるものです。そのため、日持ちがするように、酢を使ったものや、味付けの濃いものが多くなっています。ただ、昔の家は今より室温もずっと低かったでしょうから、三が日の間ぐらいであれば、部屋の中にそのまま置いておいても問題はなかったかもしれません。けれども、今はそうはいかないでしょう。

煮物きんとん田作りなどは、常温でもある程度では保存できますが、焼き物などは日持ちしません。やはりおせち冷蔵庫で保存し、食べる際に電子レンジなどで加熱するのがよいでしょう。重箱ごと入れるのが難しい場合は、面倒でもほかの容器に移すなどして、入れるようにしましょう。

また、食べ切れなかったものは、冷凍保存や手を加えて違う料理にアレンジするのもおすすめです。

【2024年】詰め方の参考になる、おしゃれなおせち料理

最後に、詰め方のお手本になるよう、2024年のおせちの中から、入れ方のおしゃれなものを、いくつかご紹介します。
ぜひ参考にしてください。

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まとめ

今回ご紹介したルールやコツを参考にしていただければ、みなさんもきれいにおせちを詰めることができるはずです。

重箱のふたを開けた瞬間、きっとご家族から歓声があがることでしょう。お正月に向けて、ぜひ試してみてください。