ボジョレーヌーボー(Beaujolais nouveau)とは
「ボジョレーヌーボー」とは、フランスのボジョレー地区でその年に収穫されたブドウ(ガメイ種)を醸造して作るワインの新酒のこと。
ヌーボーには「新しい」という意味があります。
一般的なワインは、長い時間をかけて熟成した味や香りを楽しみます。
対照的に、9月に収穫されたブドウを11月の出荷までのわずか2カ月間で製造するボジョレーヌーボーは、新鮮な風味を味わうためのカジュアルなワインです。
ブルゴーニュ地方の南に位置するボジョレー地区は、標高や気候がワイン作りに適していることから、軽やかな赤ワインの産地としてよく知られています。
ボジョレーといえばまずヌーボーを連想されがちですが、主に赤ワインの原料となる黒ブドウ(ガメイ種:ガメイ・ノワール)の原産地で、その栽培面積は世界中のガメイ種畑の半分以上を占めるほど。
また、ボジョレーヌーボー以外にもさまざまなデイリーワインを出荷しています。
日本で初めてボジョレーヌーボーの人気に火が付いたのは、空前の好景気に沸いていたバブル経済真っただ中の1988年でした。
時差の関係から、当時先進国の中で一番にボジョレーヌーボーの解禁日を迎えていた日本では、この時期しか飲めない特別なワインを、世界で最初に飲めるとのフレコミで一躍話題となりました。
当時流行した「ボジョレーヌーボー解禁パーティー」は、派手で華やかだったバブル時代を象徴するかのような一大イベントとして、多くのメディアに取り上げられたものです。
やがてバブルの終焉とともにボジョレーヌーボーの人気も一段落しましたが、その後の赤ワインブームなどの影響から酒文化のひとつとして静かに定着しました。
現在では秋の季語として俳句に盛り込まれるほどお馴染みとなった年末の風物詩であり、季節感あふれる期間限定の「初もの」として多くの人に親しまれています。
ボジョレーヌーボーはどのように誕生したか?
ボジョレーワインの新酒がフランス政府により正式に「ボジョレーヌーボー」と呼ばれ始めたのは、今から60年ほど前の1951年からです。
それ以前の新酒は、ワインの製造者がその年のブドウの品質や出荷量を知るため、またブドウ農家が収穫を祝って飲んだともいわれています。
「ボジョレーヌーボー」の解禁日の謎に迫る!
ボジョレーヌーボーと聞いて思い浮かぶのが「解禁日」というキーワードですが、フランスで作られるすべてのワインは12月15日が解禁日と決められていた時代もありました。
これは、第2次世界大戦下に酒の流通を管理していたフランス政府が、1951年に統制を解除する際、その年のブドウで作った新酒は12月15日以降に販売するとの法律を制定したためです。
このとき、ボジョレー地区の生産者たちがもっと早く出荷したいと要請したことから再検討され、ボジョレーヌーボーに関しては解禁日を待たずに出荷することが許されるようになりました。
しかし、その後15年の間にボジョレーヌーボーの早出し競争は激化し、フランスワインの評判を落としかねないほどの粗悪な製品が販売されるようになったため、ワインとしての品質低下を懸念したフランス政府は、1967年に改めてボジョレーヌーボーの解禁日を新たに定めたのです。
それが、カトリックの記念日「聖マルティヌス(サン・マルタン)の日」、11月11日でした。
ボジョレー地区で最も早く摘み取られたブドウを仕込んで作られるワインが完成する時期に近かったというのがその理由です。
そもそも、この日を新酒の解禁日としたのは、同じワイン大国であるオーストリアで、その歴史は1789年にまでさかのぼります。
急進的な啓蒙君主として名高い当時の皇帝ヨーゼフ2世は、それまで教会の特権だったワイン作りを一般市民に開放しました。
このとき自家製ワインの販売に際して設けられた解禁日が聖マルティヌスの日であり、かのモーツァルトも、毎年11月11日に新酒を楽しんだといわれています。
本家のオーストリア国内では、今でもこの日を新酒ワインの解禁日としています。
しかしフランスでは第一次世界大戦下の1918年11月11日に、ドイツと連合国の休戦協定がむすばれたことでこの日が休戦記念日となりました。
そのため、聖マルティヌスの記念日は「無名戦士の日」に上書きされたのです。これに伴い、戦没兵士を追悼する日に新酒のお祭りはふさわしくないとの理由から、ボジョレーヌーボーの解禁日が直近の記念日である「聖タルベール(サン・タルベール)の日」、11月15日に移されました。
新たに解禁日を設けられたフランスのボジョレーヌーボーは、パリのレストランで大ブレイクを果たします。
やがて、輸送手段の発達とともにボジョレーヌーボーのブームは広く世界中から知られるようになり、1976年には日本へも空輸されるようになりました。
すると今度は、11月15日が週末や休日に当たると流通がストップしてしまい、新鮮さを売りのボジョレーヌーボーの入手が休み明けになってしまうという問題が発生。
こうして、1985年には現在の解禁日である「11月第3木曜日」に落ち着いたというわけです。
木曜日が解禁日に選ばれたのは、前年の11月15日がたまたま木曜日だったというシンプルな理由によるものでした。
2019年のボジョレーヌーボー解禁日はいつ?
2019年のボジョレーヌーボー解禁日は、前年よりも1週間遅い11月21日の木曜日です。
「理想的な条件の元、素晴らしいヴィンテージへの期待高まる」とう華々しいキャッチコピーで注目を集めた2018年のボジョレーヌーボーは、以前の解禁日と同じ11月15日の解禁ということで話題になりました。
味わい深い!ボジョレーヌーボーの特殊な製法
ボジョレーヌーボーのもうひとつの特徴は、1934年に新たな醸造法としてフランスの科学者が開発した「マセラシオン・カルボニック(maceration carbonic )」と呼ばれる特殊な製法にあります。
マセラシオンは「醸 (かも) し」、カルボニックは「炭素」のことで、日本語では「炭酸ガス浸潤法」と訳されます。
日本酒では麹(こうじ)に水を加えることでアルコールの醸造を行いますが、ワインの場合は、ブドウの種や果皮を水で漬け込むことにより、色素やタンニンなどの成分を抽出することで醸しの工程を行います。
ボジョレーヌーボーはブドウの収穫からワインの出荷までの期間が短いため、その過程において急速にアルコール発酵させる必要があります。
そのために炭酸ガスの圧力を利用するというわけです。
これが、マセラシオン・カルボニックの原理です。
マセラシオン・カルボニックでは、まず通常のワインのように収穫したブドウを破砕せず、房のままのブドウをステンレスタンクに投入して仮発酵させます。
ブドウ自体の重みで潰れた果肉からは果汁が流れ出し、タンク内で発酵して炭酸ガスが生成されます。
タンク内に充満した炭酸ガス(二酸化炭素)は空気よりも重いため、タンク底部に留まってブドウに圧力がかかるのです。
このとき、ブドウ果肉の内部では炭酸ガスの圧力と酵素の働きによってボジョレーヌーボー独自の風味を生み出すさまざまな成分が生成されます。
また、炭酸ガスがフィルターになることで酸素との接触を遮られたブドウは酸化が抑えられ、フレッシュな口当たりのワインになります。
こうして完成したボジョレーヌーボーは、「バナナのような香り」と評される、独特のMC(マセラシオン・カルボニック)香を帯びるようになるのです。
マセラシオン・カルボニック法は自然の炭酸ガスを利用する伝統的な醸造法ですが、現在では人工的に外部から炭酸ガスを注入し、タンク内の酸素濃度を0.5%以下に管理する方法が一般的になりました。
タンク内の酸素を炭酸ガスと入れ替えることで余計な微生物の発生を抑え、よりフレッシュな香りが実現するのです。
そのため、伝統的な製法を「マセラシオン・セミ・カルボニック」と呼び、区別することもあります。
ボジョレーヌーボーの味の特徴
ワインが苦手という方の多くは、独特の渋みや酸味に抵抗があるのではないでしょうか。
しかし、ボジョレーヌーボーなら、ワイン初心者でも飲みやすいと感じることでしょう。
ボジョレーヌーボーの原料であるガメイ・ノワール(ガメイ種)は、もともと渋みの元であるタンニン成分が少なく、「華やかさ・軽やかさ」を主な特徴とする品種のブドウです。
正式名「Gamay noir à jus blanc(白い果汁を含んだ黒い果皮のガメイ)」が表すように、味がすっきりしている割には濃いルビー色のワインになります。
そんなブドウから生まれるボジョレーヌーボーは、ベリーを思わせるフルーティーな香りと柔らかい果実味を備え、リンゴ酸が分解されているため、味もまろやかです。
発酵の過程で生成される炭酸ガスがブドウの酸化を防止するため、よりフレッシュでフルーティーな味わいになります。
最高級のワイン「ボジョレーヌーボー」の種類
フランスで生産されるワインは、産地によって原料となるブドウの品種や栽培方法、醸造技術などに伝統的なスタイルがあり、それぞれの個性や品質はフランス産農業製品のための認証制度「AOC法(アペラシオン・ドリジーヌ・コントロレ:Appellation d’Origine Contrôlée)」の格付けによって守られています。
AOCは、もともと1935年に制定された古い法律で、2008年にワイン法が改正されて「A.O.P.(Appellation d’Origine Protégée)」と記載されていることもありますが、いずれもフランスの「原産地呼称委員会(INAO)」によって管理されています。
日本語では「原産地統制呼称制度」または「原産地呼称統制」と表記され、AOC商品として認められるには、生産地域・品種・最低アルコール度数・最大収穫量・栽培法・剪定法・醸造法・熟成法・試飲検査などといった規定を満たす必要があります。
もちろんボジョレーヌーボーも格付けの対象で、特に「醸造法」に関しては他のワインよりも細かく規定されています。
AOC認証されたボジョレーヌーボーのラベルには「Appellation Contrôlée」や「Appellation d’Origine(生産地)Contrôlée」といった文字が表示されています。
ボジョレーヌーボーの種類
AOC法によるボジョレーワインの格付けは上位から順に、「クリュ・デュ・ボジョレー(Les crus du beaujolais)」「ボジョレー・ヴィラージュ(Beaujolais Villages)」「ボジョレー・シュペリュール(Beaujolais Supérieur)」と、「ボジョレー(それ以外の無表記)」の計4種類があります。
ボジョレー
最もスタンダードな「無記名のボジョレー」で、解禁日に見かける安価なボジョレーヌーボーはこのタイプです。
ボジョレー地区全域で醸造されたワインに付く認証で、原料にガメイ種を使用し、赤ワインとロゼのみ生産されています。
ボジョレー・シュペリュール
原料にボジョレー地区全域で収穫されたブドウを使ったワインです。
生産量が少ないため新酒(ヌーボー)として出回ることはありませんが、アルコール度数が0.5%高めに仕上げているのが特徴です。
ボジョレー・ヴィラージュ
AOCボジョレー96カ村のうち、ボジョレー地区の北部に位置する38の村(ヴィラージュ)で栽培されたブドウを原料とするワインです。
無記名のボジョレーよりもアルコール度数や糖度に細かな規定が設けられている上級品で、日本の市場でも解禁日にはヌーボーが出回ります。
一般的なボジョレーよりも凝縮感があり、繊細でフルーティーな中にも力強い飲み口が感じられると評されます。
クリュ・デュ・ボジョレー
ボジョレー地区の中でもわずか10の畑(クリュ)から採れたブドウで造られる、最高位のワインです。
ボジョレーのワインは長期熟成に向いていないと思われがちですが、クリュ・ボジョレーの中には長期熟成にも耐えられるポテンシャルをもつものもあります。
ボジョレーやヴィラージュのワインが複数の産地で採れたブドウをブレンドして造られるのに対し、クリュのワインは土地それぞれの個性が際立っているのが特徴です。
ただし、クリュ・デュ・ボジョレーにはヌーボーに関する規定が設けられていないため、新酒は「ボジョレー」「ヴィラージュ」として市場に出回ることがあるようです。
ボジョレーヌーボーに白ワインはある?
「ボジョレーヌーボー」としての白ワインや発泡性ワインは生産されていません。
ボジョレー地区では、ボジョレーヌーボーに代表される赤ワイン、淡いピンク色が美しい「ロゼワイン(vin rosé:バン・ロゼ)」、発泡性ワインが製造されており、わずかながら白ワインも出荷されています。
白ワインを醸造するには原料に白ブドウを使用する必要があります。
そのため、ガメイ種以外のブドウを使用している時点で、ボジョレーヌーボーとして認められません。
ただし、ボジョレー地区で製造される白ワインは原料にシャルドネ種のみを使ったワインに限り、「ボジョレーワイン」と銘打つことが許され、愛好家の間で楽しまれています。
赤ワインのコクと白ワインの飲みやすさを併せ持つロゼも、ボジョレーヌーボーの中では飲みやすいワインとして定評があります。
原料ももちろん赤ワイン用と同じ黒ブドウですが、発酵途中で果皮を取り出して完成させており、収穫されたブドウの完熟度や発酵の度合いによって味わいが変わります。
ボジョレーヌーボーのおすすめの飲み方
通常の赤ワインが常温で香りを楽しむのに対し、フルーティーな果実味が残るボジョレーヌーボーは冷たくしてから飲むとおいしさが引き立ちます。
冷蔵庫やワインクーラーで1時間ほど冷やし、10~12℃になったら飲み頃です。
また、ボジョレーヌーボーは長期保存用に造られたワインではないため、通常のワインのように長く寝かせると未開封であっても熟成が進み、持ち味のフレッシュさが失われ、味が落ちてしまいます。
購入後は2~3カ月以内を目安に飲むようにしましょう。
ボトル1本を買ってみたけど賞味期限までに飲み切れる自信がないとか、余らせても料理に使う予定はないという場合には、赤ワインを使ったカクテル「カリモーチョ」を試してみてください。
レシピは、氷を入れたグラスにまずワインを注ぎ、次に同量のコーラを満たすだけ。
簡単に作れるうえ、おいしく飲めるカクテルなので、味を変えて飲みたいときにもおすすめです。
ボジョレーヌーボーはブドウの収穫を祝って思い思いのスタイルで楽しむカジュアルなワインですが、よりおいしく味わうならグラスにもこだわってみましょう。
ワイングラスにはさまざまな形状のものがあり、初心者には難しく感じられるかもしれませんが、大きく分けると「赤ワイン用」と「白ワイン用」の2種類です。
「早飲みタイプ」と呼ばれるボジョレーヌーボーのフレッシュさを感じるには、スパークリングワインやロゼワインにも合う白ワイン用のグラスがおすすめです。
白ワイン用は卵形のボウルと緩やかにすぼまった飲み口が特徴で、冷やしたワインの温度が変わる前に最後までおいしく飲み干せるよう、やや小ぶりの形状になっています。
「リースリングタイプ」や「ジンファンデルタイプ」は、国際的な試飲会でも使用されている最もスタンダードな形状の白ワイン用グラスです。
失敗しないボジョレーヌーボーの選び方のポイント5
「ボジョレーヌーボー」の呼称が特定ワインの商品名だと思って売り場に行ってみると、たくさんの種類が並んでいることに驚かれるかもしれません。
ボジョレーヌーボーの生産者数はボジョレー地区全体で実に3,000軒ともいわれ、同じ数だけ味わいや価格の違うボジョレーヌーボーが存在します。
何の予備知識もないまま「ラベルのデザインがかわいい」とか、「値段が安い」という理由で選んでモヤモヤすることのないよう、ここからは納得のいく1本を見つけるために欠かせないチェックポイントを紹介します。
1.値段だけで判断しない
ボジョレーヌーボーに限ったことではありませんが、ワインの価格はピンからキリまで幅広く、価格が高いからといって飲み手にとっておいしいわけでもありません。
価格のバラつきには、生産者ごとにブドウの栽培法や醸造法、業者ごとにかかっている輸送コストが違うことなど、さまざまな理由が考えられますが、ワインの値段と品質の関係については本場フランスの間でも「永遠のテーマ」にされるほど複雑で、難解な問題とされています。
日本で販売されるボジョレーヌーボーには、空輸にかかる輸送コストや関税のほか、輸入業者のマージンなどが加算されているため、スタンダードなもので1,500円から2,500円、高級帯のボジョレー・ヴィラージュなら3,000円から5,000円が相場です。
安売りで知られる量販店などでは1本数百円で販売されているものを見かけることもありますが、極端に安い商品の中には前年の売れ残りが混ざっていることもありますので、まずは「高すぎず、安すぎず」を目安として選ぶようにしましょう。
2.ワインに詳しい人に聞く
経験の豊富なソムリエやバーテンダー、ワイン専門店のスタッフなど、ワインのプロフェッショナルに好みの傾向や予算などの基本情報を告げ、おすすめの1本を選んでもらいましょう。
身の回りにある程度のワインを消費しているほどのワイン好きがいれば、味の感想や意見を聞いて参考にするのもよいでしょう。
3.ボトルラベルから情報を読む
ワインのラベルにはスタイリッシュで個性的なものが多く、眺めているだけでも楽しいものです。
ラベルには、おしゃれなイラストデザインだけでなく、そのワインの名前や産地、生産者など多くの情報が記載されています。
ボジョレーヌーボーの場合、まず、原料のブドウが収穫された年を表す「ヴィンテージ」が目立つところに記載されていますので、今年のものであることを確認します。
また、金賞受賞などが一緒に表示されていることもありますが、金額と同様、受賞したワインが自分にとってすべておいしいわけではありません。
受賞を謳うシールに惑わされないこともワイン選びに失敗しないためには必要なことです。
4.ティスティングをさせてもらう
他の嗜好品と同じく、ワインの好みも人それぞれです。
お酒の専門家から一通りの基礎知識を得たら、あとは実際に味わってお気に入りの1本を決め ましょう。
ボジョレーヌーボーの季節には、試飲コーナーがある売り場に足を運ぶことをおすすめします。
5.製造者から判断する
ボジョレーヌーボーを選ぶ際には、ファンの間で人気の高い製造者のワインを探すのも楽しいでしょう。
例えば、1831年創立の老舗、アルベール・ビショー社などは信頼のおけるワイナリーの大手です。
また、「ボジョレーの帝王」といわれるフランスのジョルジュ デュブッフ氏は、ブドウの収穫を手摘みで行うことにこだわったり、ボジョレー地区の生産者との信頼関係を守ったりすることでワインの品質を維持している醸造家で、 1964年に設立された大手ワイナリー、ジョルジュ デュブッフ社の創設者です。
ボジョレーヌーボーに合う料理やおつまみ
ワインと料理との相性は、一緒に口に含んだときに生まれる味の相乗効果で判断されます。
これを「マリアージュ(mariage)」といって、一般的には「結婚」を意味するフランス語です。
タンニンの多い赤ワインには肉料理を合わせるのが基本ですが、同じ赤ワインでも渋みが少なくフルーティーな軽やかさが持ち味のボジョレーヌーボーの場合は、白ワインに合う料理をイメージするとよいでしょう。
人の味覚には「五味(甘味・塩味・酸味・苦味・うま味)」と呼ばれる5つの種類があり、これらのバランスを満たすほど、料理の味は美味に感じられます。
反対に、同じ種類の味同士では互いの持ち味を打ち消し合う性質があり、それぞれの味の強さが違っても全体のバランスが取れずマリアージュは生まれません。
例えば、赤ワインにビーフステーキを合わせることでステーキに足りない苦味と酸味が補われますが、酸味の強いドレッシングを使ったサラダを合わせるとワインの風味が感じられなくなり、ワインに含まれる鉄分が魚を生臭く感じさせるといった具合です。
ボジョレーヌーボーに合うおすすめ料理
ボジョレーヌーボーに肉料理を合わせるなら、シンプルであっさりとした「ローストビーフ」や「チキンソテー」がおすすめです。
ソースにハーブを効かせることで、よりヌーボーと相性のよい一皿になるでしょう。
魚料理にワインを合わせる場合は、醤油の代わりにオリーブオイルと塩を使って「カルパッチョ」にするとおいしく味わえます。
基本的に赤ワインには赤身を、白ワインには鯛やヒラメなどの白身をチョイスするのがセオリーですが、濃い色のわりにあっさりとした味わいのボジョレーヌーボーは白身魚の方がおすすめです。
また、白ワインと相性のよい「ブイヤベース」はボジョレーヌーボーにもよくマッチします。
手軽に家庭料理を合わせるなら、甘味とうま味の強い「肉じゃが」「鶏の照り焼き」などが好相性。
また、生クリームを使ったホワイトソースともよくマッチしますので、ポテトやカボチャを使ったクリーミーなグラタンで、気軽にマリアージュを楽しんでみてはいかがでしょうか。
ボジョレーヌーボーに合うおすすめおつまみ
もっと手軽なボジョレーヌーボーのおつまみを選ぶなら、ポイントは「あっさり」と「うま味」です。
もともとワインとの相性がよいチーズや生ハム、ソーセージ、サラミなどは、ボジョレーヌーボーのおつまみとしても定番です。
チーズと合わせるなら癖のないクリームチーズやカマンベールがよいでしょう。
また、いつものポテトサラダにアンチョビを加えるだけでワイン向きのおつまみに大変身します。
2019年ボジョレーヌーボー、出来はどうなる?
その年のボジョレーヌーボーに関する情報は、「ボジョレーワイン委員会」によって解禁日も間近の10月初旬に発表されます。
2018年は2017年に続いて出来がよく、珠玉のヴィンテージとして話題になりましたので、2019年もおいしいボジョレーヌーボーとの出会いが期待できそうです。
【2019年】フランスワインのおすすめ厳選ベスト5
今から待ち遠しい2019年のボジョレーヌーボー解禁日。
ボジョレー地区のブドウは6月ごろから小さな実をつけ始めますが、「ブドウ果汁は8月に作られる」という言葉もあるように、これから大切な季節を迎えます。
現段階では、まだどんな味なのかは分かりませんので、ここでは2018年に人気だったボジョレーヌーボーを紹介します。
ボジョレー ヌーヴォー|ジョルジュ デュブッフ
世界中で飲まれているヌーボーの代名詞、ジョルジュ デュブッフ社の代表的なボジョレーヌーボー。
ボジョレーヌーボーの公式コンクール「リヨン・ボジョレー ヌーヴォー ワインコンクール」の受賞歴が多く、日本では「サントリー」が輸入しています。
2018年は、創業者のジョルジュ デュブッフ氏が400軒以上の生産者から厳選したブドウで造られたバランスのよい味わいと、フレッシュでスムーズな飲み口が人気でした。
ボジョレー ヴィラージュ ヌーヴォー セレクション プリュス|ジョルジュ デュブッフ
38のボジョレー・ヴィラージュ地区の中から、特に質のよいブドウを集めて醸造したこだわりのヴィンテージです。
生産者(ドメーヌ)の実力や畑に対する評価など独自の選定基準を設け、最終的に5つのドメーヌを選出。
その味わいは「繊細でエレガント」と評されました。
高級感のある黒いラベルには、ジョルジュ デュブッフ氏のサインとシリアルナンバーが金文字で記されています。
ボジョレー ヴィラージュ ヌーヴォー|ジョルジュ デュブッフ
フランスの三つ星レストラン「ポールボキューズ」に最も愛されているジョルジュ デュブッフ社のボジョレーヌーボーは、毎年変わる花モチーフのラベルデザインが目印です。
ボジョレー地区38村で採れたブドウだけを使い、華やかな果実や花の香りを凝縮したようなきめ細やかで軽やかな味わいのボジョレーヌーボーに仕上がっています。
ボジョレー ロゼ ヌーヴォー|ジョルジュ デュブッフ
フルーツを感じさせる飲み口と飲みやすさに加え、テーブルの上をパッと華やかにする愛らしいボトルが女性に人気のロゼワインです。
ラベルに描かれた花々は、どれも「感謝」の花言葉をもつものばかり。
ロゼ特有の美しい色合いと、膨らみのある味わいも魅力です。
マコン ヴィラージュ ヌーヴォー|ジョルジュ デュブッフ
フランス・ブルゴーニュ地方のほぼ中央南部に位置するマコネー地区は、優れた白ワインの産地として知られるジョルジュ デュブッフ氏の生まれ故郷です。
ボジョレーヌーボーとは違いますが、シャルドネ種のみを原料に造られた果実味あふれる白ワインはすっきりとした辛口。
よく冷やしてフレッシュな味わいを満喫するのにピッタリです。
まとめ
年に一度のお祭りとして世界中で愛されているボジョレーヌーボー。
ひと頃に比べると輸入量が減少したともいわれていますが、ワイン文化の定着とともに人気が分散しただけとする見方もあります。
和食とあまり相性のよくない赤ワインのイメージから、これまで何となく敬遠していたという方も、まずは飲みやすいボジョレーヌーボーやロゼワインから試してみてはいかがでしょうか。