【保存版】モバイルバッテリーを飛行機に持ち込む際の注意点総まとめ!

普段の生活には欠かせない充電式のモバイルバッテリーですが、飛行機に搭乗する際、リチウムのモバイルバッテリーをスーツケースなどの受託手荷物に入れることが禁じられ、機内持ち込み手荷物だけとなりました。

なぜ預け入れができなくなってしまったのでしょうか?
また、手荷物で持ち込む際の制限はあるのでしょうか?
持ち込みが制限された背景や、持ち込みすることができる個数や、具体的な航空会社各社の規定などを併せてご紹介していきます。

なぜモバイルバッテリーが飛行機の受託手荷物に入れられなくなったの?

現在流通しているモバイルバッテリーの多くが、リチウムを使った充電式のバッテリーで、みなさんにも馴染み深いですよね。

その一方で、1991年3〜2018年12月の間にリチウムバッテリーが原因の飛行機事故は238件記録されています。(アメリカ連邦航空局(FAA)調べ)

空中で密室という逃げ場のない空間での発火や発煙は非常に危険で、特に受託手荷物の貨物室内で発火した場合、発見が遅れ被害が甚大になる可能性が高いため、モバイルバッテリーは持ち込み荷物だけに制限されるようになりました。

モバイルバッテリーの何が航空機の持ち込み制限に当たるのか?

飛行機への荷物持ち込みは、下記の2種類です。

  • 受託手荷物:空港スタッフに荷物の預け入れをする
  • 客室持ち込み:客室内の座席のところまで荷物を持ち込みする

このうち、受託手荷物でのモバイルバッテリーの預け入れが全面的に禁止されています。
また、モバイルバッテリーに関して、飛行機の持ち込み制限には下記3つの条件が加わります。

  • 持ち込み数
  • 電力量(バッテリーの容量)
  • リチウム含有量

タブレットやノートPCなどの電子機器端末も、リチウムバッテリーを内蔵しているものがありますが、端末内に内蔵しているものについては規定の重量や電力量を超えない限りで受託手荷物の中に入れることが許されています。

ただし、受託手荷物内の端末は「完全に電源をオフにする」という条件があります。
これは受託手荷物が貨物輸送されるときに衝撃等を受けてショートや発火などが生じることを防止するものです。
安全のために促されている条件となりますので、スリープモードやスタンバイモードではなく、必ず電源を切るようにしましょう。

モバイルバッテリーを飛行機の中に持ち込める個数制限とは?

IATA(国際航空運送協会)のガイドラインでは、モバイルバッテリーは下記の個数制限を設けています。

  • 100Wh以下:20個まで
  • 100Whより大きく160Wh以下:2個まで

ただし、こちらはあくまでもガイドラインであるため、具体的な持ち込み数については各航空会社の規定によります。
本記事の後半に各航空会社の持ち込み規定についてまとめていますので、併せて参考にしてみてくださいね。

その他にも、医療系の器具に搭載されているリチウムバッテリーなどについても、持ち込みに制限がありますので、細かな規定については下表を参照してください。

Whまたはリチウム含有量 対象物 荷物持ち込み可否 受託手荷物 持ち込み申請
100Wh以下または2g以下 電子機器や医療系電子機器 OK(ただし15個まで) OK 不要
予備電池(モバイルバッテリー) OK(ただし20個まで) NG 不要
100Whより大きく~160Wh未満 電子機器や医療系電子機器 OK OK 必要
予備電池(モバイルバッテリー) OK(ただし2個まで) NG 必要
100Whより大きく~160Wh未満 電子機器や医療系電子機器 OK OK 必要
160Wh以上 IATA危険物規則に従い貨物機での輸送対象。
2g~8g 医療電子機器のみ 可能 OK 必要
医療電子機器用の予備電池(モバイルバッテリー) 可能(ただし2個まで) NG 必要

モバイルバッテリーとして持ち込みできる電池容量は?

国内で見かけるモバイルバッテリー容量は、「mAh(ミリアンペアアワー)」で記載されており、「Wh(ワットアワー)」の表記は馴染みがないという方も多いのではないでしょうか。

では具体的に100Wh・160Whとは、どのくらいの容量となるのでしょうか。
持ち込み基準となる100Whと160Whとは、それぞれどのくらいの容量を指すのか、計算してみましょう。

結論から言うと、

  • 100Wh=27027mAh
  • 160Wh=43243mAh

です。

具体的な計算式は、下記となりますが、上記の数値だけ覚えておくので問題ありません。

100Wh÷3.7V×1000=27027.027…mAh

160Wh÷3.7V×1000=43243.243…mAh

本計算では、完全には割り切れないため端数を省いています。

※計算で利用している各数値の説明は下記を参照して下さい。

Wh:1時間あたりの電力量

3.7V:リチウムバッテリーの定格電圧

1000:単位をミリに合わせるための数値

mAh:電流(容量)

本記事の後半で、主要航空会社の持ち込み規定数を掲載していますが、実際にはIATAのガイドラインよりも持ち込み個数制限が緩かったり、逆に厳格に設定されていたりする航空会社があります。
搭乗前には必ず搭乗予定の航空会社の持ち込み規定を確認してくださいね☆

モバイルバッテリー以外も預けられない電子機器があるって本当?

電子タバコは端末にリチウムバッテリーが内蔵されていますが、モバイルバッテリーと同様に受託手荷物への預け入れが禁止され、機内持ち込みのみが許されています。

ただし国によっては電子タバコの携行自体が禁止・制限されている場合がありますので、モバイルバッテリーの持ち込み制限個数の確認と併せて、事前の確認をおすすめします。

モバイルバッテリーを受託手荷物に入れてしまったらどうなるの?

各国で対応は分かれますが、セキュリティ検査時に預け入れた受託手荷物の中からモバイルバッテリーが見つかった場合、たとえば中部国際空港セントレアでは、受託手荷物の検査後に持ち主を呼び、立ち会いの元で再検査をするようです。
もしも個数や不備により機内持ち込み手荷物にも入れられない場合には、その場で廃棄するしかなくなってしまうかもしれません。

せっかくの旅行時に、現地でスマホやカメラの充電ができないなんてことが無いように、荷詰め時の確認を欠かさないようにしましょう!

機内持ち込み手荷物にモバイルバッテリーを入れたら安全か?

もちろん機内持ち込み時にもモバイルバッテリーが発火する可能性は否定できません。
しかし機内持ち込みであれば、受託手荷物のように人の目の届かないところで異常が起きた場合よりも素早く対応ができるため、相対的に安全ですね。

ただしSamsungの「Galaxy Note 7」は、世界中で発火事故を起こしていたため、機内持ち込み自体が禁止されました。
発火の危険性が著しく高いと判断された端末や物体に関しては、機内持ち込み・受託手荷物の両方について禁止されることがあるのですね。

個数やWh数など、具体的な各航空会社の規定・条件は?

リチウムイオンモバイルバッテリーの機内持ち込みについて、2019年1月現在、主要航空会社各社では下記のように定めています。

航空会社 予備電池
ANA 100Wh以下 – 制限なし
JAL 100〜160Wh未満 – 2個まで
ユナイテッド航空 160Wh 以上 – 不可
中国国際航空
チャイナエアライン
ベトナム航空
アメリカン航空
Peach
KLM オランダ航空 100Wh以下 – 2個まで(ただし電子機器分を合算)
100〜160Wh未満 – 許可制(100Wh以下のものと併せて2個まで)
160Wh〜 – 不可
ブリティッシュエア 100Wh以下 – 4個まで
100〜160Wh未満 – 2個まで
160Wh〜 – 不可
アシアナ航空 100Wh以下 – 5個まで
100〜160Wh未満 – 2個まで
160Wh〜 – 不可
チェジュ航空 100Wh以下 – 5個まで
100〜160Wh未満 – 2個まで
160Wh〜 – 不可
大韓航空 100Wh以下 – 5個
100〜160Wh未満 – 2個まで(ただし100Wh以下のものと併せて5個まで)
160Wh〜 – 不可
エディハド航空 100Wh以下 – 10個
100〜160Wh未満 – 不可
160Wh〜 – 不可
シンガポール航空 100Wh以下 – 20個まで
カタール航空 100〜160Wh未満 – 2個まで
スクート 160Wh〜 – 不可
エミレーツ
エール・フランス 100Wh以下 – 20個まで
100〜160Wh未満 – 2個まで(ただし要申請)
160Wh〜 – 不可
デルタ航空 100Wh以下 – 20個
100〜160Wh未満 – 2個まで(ただし100Wh以下のものと併せて20個まで)
160Wh〜 – 不可

上記表でまとめたように、多くの航空会社が100Wh〜160Whのモバイルバッテリーは上限2個で持ち込み許可されていますが、エディハド航空に関しては持ち込み自体が許可されていません。

また、エール・フランスのように、100Wh〜160Whのモバイルバッテリーについては持ち込みに航空会社への申請が必要な場合があります。

持ち込み方法については、モバイルバッテリーがショートしないようにプラスチック袋で個装したり、頑丈なケースに入れて衝撃から守る工夫をしたり、端子部分にテープを貼って通電を予防するよう指導があったりと、制限事項が設けられている場合があります。

このようにIATA(国際航空運送協会)の規定と併せ、各社によっても規定が更に定められているものがありますので、搭乗前には搭乗予定の航空会社の規定を確認するようにしましょうね!

機内持ち込みに適しているモバイルバッテリーとは?

薄型タイプ

機内持ち込み手荷物は、頭上の荷物入れに入れるか、座席の下に入れる必要があります。
ハンドバッグなどのコンパクトな荷物の中にも入れられる方が、荷物自体もコンパクトになり座席の下に入れやすくなることや、降機後にすぐ取り出して使えるため、荷物がかさばらないように薄型タイプを選ぶと便利ですね!

 

小型タイプ

薄型タイプを選ぶメリット同様、機内持ち込み手荷物はかさばらない方が座席下に入れやすいため小型のものを選ぶと、取り出しやすくて便利ですね!
また、小型のものであれば旅行中に衣類のポケットなどに入れやすく、取り出しやすいためおすすめです。

 

複数端子対応タイプ

旅行時にはできるだけ荷物を減らしておきたいですよね?
航空会社によってはモバイルバッテリーの個数制限が設けられていますので、できれば複数の出力端子がついているモバイルバッテリーを用意することで、複数端末で汎用的に利用することができるので便利です☆

 

制限以内の大容量タイプ

100Wh以内のモバイルバッテリー持ち込みは、どの航空会社でも許可されていますので、100Wh≒27027mAh以内のモバイルバッテリーを複数個持ち歩けば、個数制限も柔軟ですしたくさんの容量を持ち歩くことができます。

 

ケーブル内蔵タイプ

旅行の荷物を詰め忘れて、充電ケーブルを忘れてしまったということがあっては大変です。
予めモバイルバッテリー本体にケーブルが搭載されているものを選んでおけば忘れ物が減って安心ですね。

新調する前に!そのモバイルバッテリーにPSEマーク、付いていますか?

どの航空会社でも許可された持ち込み上限容量である100Whが約27,027mAhだということはわかりましたが、もし国内でモバイルバッテリーを新たに購入する場合には、国内の安全基準を満たした製品に表記が許されるPSEマークのあるものを選びましょう。

相次ぐモバイルバッテリーの発火事故を受け、経済産業省は2018年2月1日付けでリチウムポリマーを含むリチウムイオンバッテリーを電気用品安全法の適用対象としました。

1年の経過措置期間を経て、2019年2月1日以降は、国内の安全基準を満たした電化製品に表記が許される「PSEマーク」がないモバイルバッテリー製品の、製造・輸入・販売が禁止になりました。
そのため、日本国内でPSEマークのない商品が販売されている場合は違法販売となりますので、手にとらないのが無難です。

仮に個人利用をする目的の場合には輸入・利用の制限はありませんが、安全基準を満たしていない製品をわざわざ手にしてリスクを高める必要はないと思いますので、できればPSEマークがあるものを購入するようにしたいですね♪

まとめ

スマホやカメラの充電に便利なモバイルバッテリーですが、搭乗直前に没収・廃棄され、旅行先に携行できないということのないように、事前に搭乗予定航空会社の規定をチェックしてみましょう♪

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