妊娠すると、周りや主治医から「葉酸を摂るといい」と勧められることがあります。
しかし実際のところ、この葉酸という栄養素は本当に妊娠中に必要なのでしょうか?
葉酸とはいったいどんな働きをするのでしょうか?
そこで、葉酸の役割や妊娠時に葉酸が必要とされる理由、効果が期待できる摂取量などについて調査しました。
葉酸が含まれている食べ物や、おすすめの葉酸サプリもご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
葉酸とは
葉酸とは、水溶性ビタミンの一種でビタミンB群に属する栄養素です。
ほうれん草や小松菜などの緑色の葉野菜のほか、アスパラガス、ブロッコリー、モロヘイヤ、レバーなどに多く含まれています。
近年、妊娠中に取り入れたい栄養素として注目されており、日本では2000年に厚生労働省から妊娠の可能性がある女性などに対して、意識して葉酸を摂取するよう通達も出されました。
葉酸の効果
葉酸の主な役割の1つはビタミンB12とともに赤血球を作ることで、このことから葉酸は「造血のビタミン」といわれています。
さらに葉酸は細胞増殖に必要なDNAの合成を助ける役割を持ち、体の基礎を作る上でとても大切な栄養素とされています。
また妊娠時に十分な葉酸を摂取することで、胎児の神経管閉鎖障害(NTDs: neural tube defects)を引き起こすリスクを減らせることがわかっています。
妊娠時に葉酸が必要と言われる理由
妊娠中に葉酸を摂取する必要があるといわれる理由は、胎児の健康的な発育のためにほかなりません。
ここでは、さきほど紹介した神経管閉鎖障害について詳しくご紹介します。
妊娠初期に妊婦の葉酸摂取が不足すると、うまく神経管を作ることができず、神経管閉鎖障害を発症するリスクが高まります。
神経管閉鎖障害とは、妊娠初期の4~5週頃に形成される胎児の神経管がうまく癒合しないことによる先天異常を指します。
無脳症や二分脊椎、髄膜瘤(ずいまくりゅう)などが起こることがあるといわれており、日本ではそのうち、脊椎に癒合不全が生じる二分脊椎が大部分を占めています。
いずれも死に直結したり、生涯にわたる治療やリハビリが必要になったりと、子どもに深刻な影響を与えます。
このような胎児の発育不全を防ぐために、妊娠中の葉酸摂取は重要とされています。
葉酸の摂取は妊娠中はもちろん、妊娠前や授乳中にも必要とされていて、厚生労働省は妊娠の1か月以上前からの摂取を推奨しています。
その理由は、妊娠初期は妊娠に気がつかない女性も多く、自覚するまでの間、胎児の発育をサポートできないこともあるからです。
胎児の神経管は受胎後数週間で形成されるといわれていますので、葉酸は妊娠を計画、想定した段階で摂取することをおすすめします。
葉酸はいつどのぐらい摂ればいい?
妊娠中は、どれくらいの葉酸をいつまで摂取すればよいのでしょうか?
ここでは葉酸の理想的な摂取量と摂取すべき時期について確認していきましょう。
18歳以上の男女において、葉酸の理想的な摂取量は、1日あたり240μg(マイクログラム)とされています。
妊娠中の女性は、さらに妊娠の時期ごとによってプラスアルファの葉酸を摂取することが必要です。
ただし追加で摂取する葉酸は、必ずしも食品由来である必要はないとされ、むしろ厚生労働省は妊娠初期にはサプリメントや栄養補助食品からの葉酸摂取を推奨しています。
ではまず、食品由来とサプリメント由来の葉酸の違いについて確認してみましょう。
葉酸の種類とは
葉酸には「天然葉酸」と「合成葉酸」があります。
天然葉酸は「食事性葉酸」、「ポリグルタミン酸型葉酸」と呼ばれ、食材に含まれる葉酸のことを指します。
この天然葉酸は、消化管の酵素によって「モノグルタミン酸型葉酸」に分解されてから、小腸で吸収されます。
しかしこの過程でさまざまな影響を受けてしまうため、実際に体内に取り込むことができるのは摂取した量の半分程といわれています。
さらに天然葉酸は水溶性のビタミンであるため、調理時に水にさらし過ぎると溶け出してしまうなど、調理損失も受けやすい栄養素です。
一方合成葉酸とは「モノグルタミン酸型葉酸(プテロイルモノグルタミン酸)」と呼ばれ、サプリメントなどの栄養補助食品、葉酸添加食品から摂取できる葉酸です。
天然葉酸とは構造そのものが異なるため、摂取した量の約85%が利⽤できるといわれています。
そのため厚生労働省は、食事からの葉酸に加えてサプリメントなどからプテロイルモノグルタミン酸を摂取することで、効率的に神経管閉鎖障害のリスク低減できるとしています。
妊娠時期ごとの葉酸の摂取目標量
葉酸の種類について解説しましたが、次に妊娠の時期ごとに必要とされる葉酸の摂取目標量について見ていきましょう。
- 妊活~妊娠3ヶ月
妊娠を計画している段階や、妊娠直後では、とくに葉酸の摂取が欠かせません。
この頃の妊婦さんは追加で400μg/日のプテロイルモノグルタミン酸の摂取が望ましいとされています。
つまり主に食事から240μg/日の葉酸を取り入れ、さらに、サプリメントなどから400μg/日を摂取する必要があるということになります。
ただし、サプリから摂取するプテロイルモノグルタミン酸の上限量は900~1000μg/日です。
過剰摂取による健康障害などの副作用を起こすこともありますので摂取のし過ぎには注意しましょう。
- 妊娠4ヶ月~出産
妊娠4ヶ月頃から出産までは、食事から摂取する240μg/日の葉酸に加え、毎日240μgを追加で摂取すべきとされています。
ここで注意してほしいのは、追加摂取する葉酸は、サプリメントなどではなく天然葉酸がよいとされている点です。
つまり毎日480μgの葉酸を食事から摂取する必要があります。
妊娠中は、継続的に天然葉酸を多く摂取しなければならないことを覚えておきましょう。
- 授乳中
出産を終えた授乳の期間も、毎日食事から摂取する240μgに加えて、100μgの葉酸が必要です。
ここでも追加分は天然葉酸が推奨されているため、食事から340μg/日を摂取する必要があります。
授乳中に葉酸が必要なのは、⺟乳が⾎液から作られるためで、葉酸の造血作用を利用し、安定して母乳を与えることを目指します。
厚生労働省が発表している「平成27年国民健康・栄養調査」によると、女性の葉酸摂取量の平均値は、20代で234μg/日、30代で243μg /日、40代では253μg /日となっています。
食事から摂取すべき1日分の葉酸・240μgはほぼクリアしていますが、妊娠4ヶ月から授乳期にかけて必要な摂取量は達成できていません。
妊活~妊娠3ヶ月までの間はサプリメントを使用することを忘れず、4ヶ月目以降は天然葉酸を目安量摂取することを心がけましょう。
4ヶ月目以降に必要となる目安量480μgの葉酸を食べ物に例えると、アボカド約3個、茹でたほうれん草約2束分に相当します。
葉酸が含まれている食べ物を知ろう
ここでは葉酸がとくに多く含まれる食べ物と、100g中に含まれる葉酸の量を確認していきます。
野菜類
野菜では枝豆、ほうれん草などに葉酸が多く含まれています。
- 枝豆:生320μg、ゆで260μg
- ほうれん草:生210μg、ゆで110μg
- モロヘイヤ:生250μg、ゆで67μg
- ブロッコリー:生210μg、ゆで120μg
- アスパラガス:生190μg、ゆで180μg
葉酸は水溶性ですので、水洗いはなるべく手早く済ませ、長く水に浸すことのないよう気をつけましょう。
また汁ごと食べられるスープやリゾットにするなど、調理時の損失が少ないメニューを工夫するといいですね。
藻類
海藻では、のりやわかめなどに葉酸が多く含まれています。
- 干しのり:1200μg
- 焼きのり:1900μg
- 味付けのり:1600μg
- 乾燥わかめ(素干し):440μg
野菜と比べ、多くの葉酸が含まれていることに驚いたかもしれません。
しかし、のりの1食分パックの内容量は2~3gで、1日100gもののりを摂取するのはあまり現実的ではないことがわかります。
ただ、のりは調理せずに食べられる手軽な食材なので、おにぎりや手巻きずしなど毎日の食生活に積極的に取り入れるとよいでしょう。
肉類
肉類では、鶏・牛・豚それぞれのレバーに多く含まれています。
- 鶏レバー:生1,300μg
- 牛レバー:生1,000μg
- 豚レバー:生810μg
ただしレバーには、ビタミンAも豊富に含まれています。
ビタミンAは妊娠初期に過剰摂取すると胎児に異常が起こる可能性があるといわれているため、上限の3000μgRE(レチノール活性当量)を越えないよう注意が必要です。
果実類
果物で葉酸を摂取するなら、ライチーやイチゴ、マンゴーがおすすめです。
- ライチ:100μg
- イチゴ:90μg
- マンゴー:84μg
- アボカド:84μg
生で食べることができる果物は、水に溶けやすい葉酸の摂取に向いています。
食後のデザートやおやつなどとして、積極的に取り入れましょう。
妊婦さんにおすすめの葉酸サプリ7選
上記では、妊活中~妊娠3ヶ月にかけて、葉酸のサプリメントが推奨されているとご紹介しました。
しかし、葉酸サプリといってもどれがよいのかわからない方も多いのではないでしょうか。
そこで以下では、飲みやすく効率的に葉酸を摂取できるおすすめのサプリを7つご紹介します。
小粒サイズで飲みやすい!天使の葉酸
「がんばるママをサポートしたい」という思いから作られた、『天使の葉酸』。
こちらのサプリは、1粒あたりの葉酸含有量が100μgとなっており、妊娠中はもちろん、授乳中などほかの時期でも飲みやすいように作られています。
また、つわりが辛くても飲みやすいよう、直径0.8cmの小さめサイズの錠剤になっており、ニオイも抑えられているのがうれしいポイントです。
さらにビタミンB群が4種類(ビタミンB1/B2/B6/B12)と、カルシウム、鉄分など、葉酸以外にも妊娠中に不足しがちな栄養素が詰まっています。
チャック付きの小ぶりの袋入りなので、サプリを湿気から守り、持ち運びも楽々です。
妊娠時に必要な鉄も補う!たんぽぽサプリ
葉酸とともに妊婦さんに不足しがちな栄養素が鉄分。
その葉酸と鉄、両方の必要量をたった3粒で補ってくれるのが、こちらの「たんぽぽサプリ 葉酸+鉄」です。
3粒で葉酸400μg、鉄10mgが摂取できるので、妊娠中の女性の強い味方になります。
さらにサプリメントの半分は、商品名の由来ともなっている「たんぽぽの根」からできています。
たんぽぽの根にはビタミンB1、B2、鉄、カルシウムなどが含まれており、この根っこから作られる飲料はノンカフェインなので、昔から妊娠中や授乳中のママさんたちに親しまれています。
着色料・保存料・香料不使用なので、妊娠初期から授乳中まで安心して飲むことができます。
ビタミンとミネラル配合!エレビット
妊婦さんに必要なのは、葉酸や鉄だけではありません。
多くのビタミンとミネラルをバランスよく摂取しなければなりません。
しかし食品だけで、理想の量を毎日きちんと摂取するのは難しいという方もいらっしゃるでしょう。
そんな方にご紹介したいのが、12種類のビタミンと6種のミネラルが配合された葉酸マルチビタミンサプリメント『エレビット』です。
1日3粒で、葉酸は800μgも摂取可能な商品です。
また、ビタミンC/D/E/B1/B2/B6/B12、鉄、カルシウム、マグネシウム、銅、亜鉛などを摂取することができます。
中でもビタミンB6、B12には、葉酸の働きを助ける作用があるといわれています。
ビタミンやミネラルとともに、しっかり葉酸を摂取したい方におすすめです。
カルシウムも摂れる!ピジョン葉酸カルシウムプラス
葉酸に加え、サプリメントから鉄とカルシウムの摂取も考えたいなら、こちらの「ピジョンサプリメント 葉酸カルシウムプラス」がおすすめです。
これらの3つの栄養素は、妊娠中に特に不足しがちな栄養素ともいわれています。
1日2粒で葉酸400μg、鉄分10mg、カルシウム155mgを摂取することができます。
さらにビタミンDの4μgをはじめ、7種のビタミンB群(葉酸を含む)も配合されているので、ビタミンB群、鉄、カルシウムを集中して補いたいときにぴったり。
香料・着色料・保存料も使われていないので、毎日安心して飲めますね。
コスパよく手軽に!葉酸&ヘム鉄 カルシウム ビタミン入り
こちらは、葉酸にヘム鉄、カルシウム、ビタミンが入ったサプリメントです。
へム鉄とは肉や赤身の魚などに含まれる鉄のことです。
牛乳や卵、野菜などに含まれている非へム鉄に比べ、体内での吸収率が高いとされています。
カプセル状のサプリメントになっており、葉酸400μg、ヘム鉄10mg、カルシウム25mg、ビタミンB12が1.4mgと、妊娠中に不足しがちな栄養素をたった1粒で摂取することができます。
90粒入っているので約3ヶ月と長持ちし、さらにチャック付きの袋に入っているので、衛生面でも安心です。
妊娠前に購入して、毎日1粒飲むようにしてみてはいかがでしょうか。
ホルモンバランスを整えるマカ配合!べびたいむ 妊活サプリ
葉酸に加え、マカとDHAが入っているこちらのサプリメント。
マカというのは、ペルー原産の植物の根っこのことで、マカには内分泌腺の活動を盛んにする働きがあるといわれ、活力増強、集中力の向上、更年期障害軽減やストレス軽減の働きがあるといわれています。
ストレスやホルモンによって体のバランスを崩しやすい妊活中の女性におすすめです。
こちらのサプリメントは、妊娠したあとも使えるのがうれしいポイントです。
おやつ感覚で!ピジョン かんでおいしい葉酸タブレット
錠剤やカプセルなど、薬のようなサプリメントは摂取しづらいという方におすすめなのが、こちらの「かんでおいしい葉酸タブレットCaプラス」です。
青りんご・グレープフルーツ・ヨーグルトという3つの味が楽しめるタブレットタイプのサプリメントです。
1日2粒で葉酸400μg、カルシウム160mg、鉄10mgと、妊娠中に欠かせない栄養素が摂取できます。
おやつ感覚で手軽に栄養素を摂取できるので、長く続けられるサプリメントをお探しなら、こちらの商品がおすすめです。
まとめ
葉酸は体をつくるために大切な栄養素です。
とくに胎児の健康的な成長には欠かせません。
葉酸は体内で生成することができないため、食事の内容を意識したり、サプリメントで補ったりする必要があります。
妊活や妊娠・授乳中の方は日頃から必要量を摂取できるように心がけましょう。
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