昔から親しまれてきた甘酒。近年ではその効能が注目され、再び人気を集めています。甘酒の効能とはどのようなものなのでしょうか?
この記事では、甘酒の種類や成分、効能などの基本的な情報から、おすすめ飲み方、人気の甘酒まで幅広くお伝えします。
飲むとキレイになれる? 甘酒の基礎知識
甘酒の種類
ひとくちに甘酒といっても、大きくわけると「米麹甘酒」と「酒粕甘酒」の2種類があります。このふたつは含まれる成分や飲み方に違いがあります。
ぜひその違いを知っておきましょう。
米麹甘酒
米麹甘酒は蒸し米と麹菌から造られる甘酒です。蒸したお米に麹菌を散布し、繁殖させてできあがった「米麹」にお湯を加え、ひと晩おいたものが「米麹甘酒」です。ちなみに家庭料理に欠かせない醤油やみりん、味噌などは米麹を発酵させてできています。
米麹甘酒はしっかりとした甘さを感じますが、砂糖は入っておらず、お米のデンプンが糖化したことで感じられる自然な甘さです。
「甘酒」とはいってもアルコールは含まれておらず、お子さまやお酒が飲めない方、妊娠中の方でも飲むことができます。近年、健康や美容への効果が期待され、注目を集めているのはこの米麹甘酒です。
酒粕甘酒
一方、米麹をさらに酵母菌で発酵させてできる「酒粕」と砂糖で造られるのが「酒粕甘酒」です。
米麹に酵母菌を加えて発酵させると「もろみ」ができます。これを絞ると清酒になり、このときに得られる絞りかすが「酒粕」となります。この酒粕をお湯で溶き、砂糖を加えたものが酒粕甘酒です。麹菌と酵母菌により、二度発酵が行われます。二度の発酵により、栄養価やうまみが凝縮されているのが特徴です。
ただし酒粕には少量ながら、アルコールが含まれているため、お子様やお酒に弱い方は避ける必要があります。
米麹甘酒の嬉しい効果
では近年特に人気が高まっている米麹甘酒に注目し、どのような効能があるのかを見ていきましょう。
疲労回復
米麹甘酒には、お米のデンプンを麹菌が分解してできた「ブドウ糖」が含まれています。ブドウ糖は脳の唯一の栄養源です。
脂質よりも分解・吸収されやすく、素早く血糖値を上げることができるため、疲れた時のエネルギー補給に適しています。
また多くのビタミンB群や酵素も含まれています。ビタミンB群は、皮膚や粘膜を健やかに保つ機能があり、アミラーゼやプロテアーゼ、リパーゼなどの酵素は、食物の栄養の消化分解・吸収を助けるはたらきがあります。
最近疲れが溜まっている、疲れやすいと感じる方はエナジードリンクとして飲んでみてはいかがでしょうか。
腸内環境改善
腸内環境の改善と聞くと「ヨーグルト」を思い浮かべる方が多いですが、同じ発酵食品である甘酒にも腸内環境を整える優れた成分が含まれています。甘酒を「ジャパニーズヨーグルト」と呼ぶ人もいるほどです。
米麹甘酒には、ブドウ糖のほかにも「オリゴ糖」がたくさん含まれています。オリゴ糖は、腸内の善玉菌の栄養となり、腸内環境を整える作用があります。腸内環境が改善されると、お通じがよくなり、美肌やダイエット効果などが期待できるでしょう。
お肌のケア
腸内環境の改善による肌荒れや吹き出物の予防といった美肌効果だけでなく、美白効果にも期待できます。
その秘密は米麹に多く含まれる「コウジ酸」にあります。これは、麹菌から培養される成分で、シミのもとであるメラニンを生成する酵素の働きを抑える作用があります。三省製薬が発見したもので、くすみの原因となる糖化を防ぐ抗糖化作用があり、お肌を明るく保つことにも期待できます。
また、皮膚や粘膜を保護してお肌を活性化させる「ビタミンB2」や、細胞の再生やコラーゲンの生成といった多くの機能に関わる「ビオチン」(ビタミンB7)など、さまざまな美肌成分が含まれています。
甘酒の効果的な飲み方
甘酒に含まれる多くの栄養価は、飲む頻度や時間帯を意識することで、より効果を高めることができます。
1日どのくらい飲めばいいの?
1日あたりコップ1杯分(150~200ml程度)を目安に飲むようにしましょう。「体にいいならもっと飲みたい」と思うかもしれませんが、甘酒はそれなりにカロリーが高いため、飲み過ぎてしまえば逆効果になってしまいます。甘酒のカロリーは、米麹甘酒も酒粕甘酒もどちらも100gあたり81kcalほどです。しかし、酒麹甘酒は飲みやすくするため、ここに砂糖が入るので、その分カロリーがアップします。
米麹甘酒は砂糖不使用なのでこれより高くはなりませんが、もとはお米です。カロリーも糖質もしっかりとあるため、飲み物の中では高カロリーの部類に入るでしょう。
いつ飲むのがいい?
甘酒を飲むのは朝がおすすめです。脳や体内のエネルギー源となる栄養素が豊富に含まれているため、これから活動を控える朝にぴったりです。お腹がからっぽの状態になっている朝は栄養素を吸収しやすく、朝は時間や食欲がないといった方の栄養補給にも適しています。
夜に飲むと糖質やカロリーが気になりますが、朝であればエネルギーとして消費してくれるため、ダイエット中の方でも気軽に飲むことができるでしょう。
もちろん朝でないといけない、ということはありません。仕事が立て込んでいるときの昼食や、ダイエット中のスイーツ代わりにと、状況にあわせて取り入れてみましょう。
温めたほうがいい?冷やしたほうがいい?
温めても冷やしても摂取できる栄養素に変わりはありません。基本的には好みに合わせるとよいでしょう。寒い季節は温めて、暑い季節は冷やしたり凍らせたりしていただくことができます。
健康効果をより高めたい場合は温めて飲むとよいでしょう。体が温まると、代謝があがり、免疫力の維持につながります。冷え性の方だけでなく、忙しくストレスが溜まりやすい方も手足が冷えやすいため、朝にホット甘酒を飲むのがおすすめです。
なお、手作りの甘酒を温め直して飲む際には温度に注意しましょう。60度以上になると麹菌は死んでしまいますので、60度を越えないように温めましょう。
早速飲んでみよう!おいしいレシピ&おすすめ10選
自宅で簡単!甘酒の作り方
家庭で作る米麹甘酒のレシピを紹介します。
炊飯器を使って手軽に作れるのでぜひ挑戦してみてください。
【材料】
- お米…1合
- お米を炊く水…360ml
- 冷ますための水…360ml
- 米麹(生)…400g
※乾燥の場合は200gに対してぬるま湯100~250mlで戻しておきます。
【作り方】
- お米を洗い、360mlの水で炊飯します。
- ご飯が炊けたら保温にし、釜の中に冷ますための水360mlを少しずつ加え、冷まします。
このとき、温度計で釜の中の温度を50~60度になるように保ちます。
麹に含まれる酵素の働きを損なわないためです。 - 2に米麹を加えてしゃもじでよく混ぜたら、炊飯器の釜にきれいな濡れふきんをかぶせて蒸らします。
途中で1~2回、ふきんを再度湿らせると乾燥を防ぐことができます。
そのまま炊飯器を保温にし、8~10時間後、ペースト状になったら完成です。
甘酒を使ったアレンジレシピ
甘酒はそのまま飲んでもおいしいのはもちろん、アレンジを楽しむこともできます。
ちょっと気分を変えたいときや、料理に役立つアレンジレシピをご紹介します。
甘酒ごまドレッシング
手軽に作れるドレッシングは、普段の食事に甘酒を取り入れたい方におすすめです。
【材料】
- 米麹甘酒…大さじ1
- ごま油…大さじ1
- お酢…大さじ1
- 砂糖…小さじ1
- 粉末だしの素…小さじ1/2
- すりごま…大さじ1
【作り方】
すべての材料をボウルに入れ、しっかりと混ぜあわせるだけ。甘さが苦手な方は砂糖を入れずに作ってみましょう。
甘酒と梨のスムージー
食欲のないときや疲れが溜まってきたときに飲みたい、さっぱりとしたドリンク。
【材料】
- 梨…1/2個
- 甘酒…1/2カップ
- ヨーグルト…3/4カップ
【作り方】
ひとくち大にカットした梨と甘酒、ヨーグルトをミキサーに入れてなめらかになるまで混ぜます。
梨のシャリシャリした口当たりが爽やかで、夏におすすめです。
おすすめの甘酒10選
ここまでは甘酒の特徴やレシピを紹介してきました。最後に、市販の甘酒から人気の商品を厳選し、10種紹介します。
ご自身のお好みにあわせて気になったものを、是非試してみてください。
蔵人こだわりの麹を使用!八海山 麹だけでつくったあまさけ
「麹だけでつくったあまさけ」は、日本有数の米どころとして知られる新潟県の南魚沼市で造られています。有名日本酒メーカーによる、酒造りの高い技術が反映された逸品です。
高精白のお米から造るこだわりの麹と、八海山水系のおいしい極軟水だけを使用しています。砂糖を一切加えず、お米の自然な甘さを引き出しているため、体にやさしくすっきりとした味わいです。
そのままレンジで温められる!森永製菓 米麹甘酒
多くのラインナップを誇る森永の甘酒の中でも、国産の米麹と食塩のみで造られた「森永のやさしい米麹甘酒」は、クセのないやさしい甘みが特徴です。定番の酒粕+米麹から造られる甘酒とはまた違った味わいがあります。
米麹甘酒はアルコール分0.00%、砂糖不使用なのはもちろん、米麹のほのかな香りが楽しめるのもポイントです。
電子レンジ対応なのでそのまま温めて手軽に飲むことができ、忙しい時にもぴったりです。
フルーツブレンドで飲みやすい!ふみこ農園 紀州フルーツ甘酒
「紀州フルーツ甘酒」は、甘酒の味が苦手な方でも飲みやすい、フルーツ果汁入りのタイプです。
6本セットには定番の「米麹」、「生姜」に加え、「密柑」「柚子」「桃」「梅」の6種類が入っており、いろいろな味が楽しめます。フルーツ王国と称される和歌山県産の素材を贅沢に使用。たとえば「桃」は果汁がなんと40%も含まれています。果実感たっぷりの飲みやすい甘酒は女性に人気です。
「美味しいとヘルシー」にこだわった甘酒セットは、見た目もかわいく、贈り物にもおすすめです。
シンプルな味でアレンジしやすい!マルコメ 糀甘酒
長きにわたり、味噌をはじめとする発酵食品づくりに取り組んできたマルコメの甘酒です。「糀」を日々の生活に手軽に取り入れてほしいという願いから展開される「プラス糀シリーズ」。その中のひとつである「糀甘酒」は、そのまま飲んでも美味しいですが、シンプルでアレンジしやすいのも魅力です。
肉や魚料理の下味やパスタのソースに、ハイボールやサワーに加えてと、幅広いアレンジができます。何度でもリピートしたくなる商品です。
甘さしっかりで濃厚!国菊 あまざけ
福岡県にある老舗の蔵元が造った「国菊 あまざけ 」は、砂糖不使用ながら、甘さがしっかりと感じられる、濃厚な味わいが特徴の甘酒です。お米の粒が残っており、食感を楽しめるのもポイント。
防腐剤や糖類は一切不使用。米も、くず米ではなく国産の食米を使用しています。国内の酒造メーカーには珍しく甘酒専用の製造ラインが設けられており、品質へのこだわりがうかがえます。
赤い甘酒!新潟 紅麹 甘酒
「新潟 紅麹 甘酒」は、ぱっと目を引く赤い色が特徴の甘酒です。赤い色の正体は「紅麹」で、紹興酒などの製造に用いられる麹の種類です。沖縄の豆腐ようなどの発酵食品にも使われています。
紅麹にはアミノ酸の一種で、神経伝達物質として機能するGABAが含まれています。体外からGABAを摂取しても、それがそのまま神経伝達物質としてはたらくわけではないとされていますが、GABAには血圧を低下させる作用が認められています。
また、脳の疲労回復やリラックス効果があるとされています。
やさしい味わい!ぶんご銘醸 酒蔵のあまざけ
「酒蔵のあまざけ」は、九州屈指の清流として知られる番匠川の水と、地元で生産されたヒノヒカリ米のほか、厳選された国産米と米麹のみを使った良質な甘酒です。
明治に創業された歴史ある大分県の酒蔵が、甘酒専用の工場で造りました。甘酒専用の工場をもつ酒蔵は全国でもまれです。
無加糖・無添加のやさしい味わいと、麹の豊かな風味を楽しむことができます。
宇治抹茶が合う!マルコメ 糀甘酒 抹茶ブレンド
マルコメの「プラス麹シリーズ」の商品です。
抹茶に含まれる「茶カテキン」は、美肌や肥満予防など、さまざまな効能があるとして注目されています。糀甘酒がもつ効能に抹茶の成分も加わっているため、美容や健康への意識が高い女性に好まれています。
抹茶は宇治抹茶を使用しています。抹茶のおかげで、甘酒の風味が苦手な方でも飲みやすく仕上がっています。
贈り物にもおすすめ!にじいろ甘酒セット
福岡県にある醤油醸造元が地元のお米を使って造った甘酒に、果物や野菜などを合わせた「にじいろ甘酒」は、その名のとおり、素材がもつ色を生かしたとても美しい甘酒です。
定番の白色の「米麹」のほか、「青梅」「八女抹茶」「くろ米」「博多あまおう」「ブルーベリー」など、たくさんの種類があります。季節ごとの限定品も人気です。5色や3色のギフトセットの商品もそろっており、甘酒の華やかな色と高級感のあるボトルの取り合わせが贈り物にも最適です。
カップ瓶の口から甘酒の香りが楽しめる!大関 甘酒
創業300年の歴史を誇る大関の「大関甘酒」は、絞りたての酒粕を使用した本格的な甘酒です。昔ながらのカップ瓶のキャップを開けると酒粕の香りが広がり、はちみつの自然な甘みを楽しめます。
体を温めてくれる生姜が使用されており、冷えに悩む方にもおすすめです。
酒粕甘酒なのでアルコール分が含まれていますが、1%未満ですっきりと飲みやすくなっています。
まとめ
昔から滋養強壮に活用されてきた甘酒。現代人の体にも嬉しい、優れた成分が豊富に含まれています。やさしい味わいは、そのまま飲んでも、アレンジして楽しむのもよいでしょう。
ここではほんの一部を取り上げましたが、いろんなフレーバーの商品があります。飲み比べてお気に入りの一本を探すのも楽しいものです。
日本酒が飲める方はお気に入りの蔵元が作っている甘酒を試してみるのもよいでしょう。美容や健康のため、ぜひ毎日の習慣として甘酒を取り入れてみてください。
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